『感情が出ません。辛いです』僕『出てる出てる!今、出てるよ!』その②

令和の品行方正な俳優諸氏の皆さん、こんにちは。

アクティングトレーナーのSakuです。

ブログを始めて1カ月。こんなブログでも読んでくださると御便りをいただくこともあり、感無量です。当初は内容が専門分野に寄りすぎて、きっと途中で諦めるんだろうな……。なんてネガティブに思ってましたが、意外と次はいつですか?とお話頂く事もあり、励みになっております。


さてさて、前回はSaku田一青年が「感情が出させなくする犯人」をざっくりと言い当てましたが、今回はその部分を解説していきます。


僕は、前回のブログの終わりに、「上手く感情を沸かせなくさせる正体は“ノルアドレナリン”だ!」とお伝えしました。


(おさらいとして“ノルアドレナリン”とは人間が頭脳を使用する際に、脳内で放出される物質の事です。ノルアドレナリン優位だと行動を起こしづらく、行動が自閉気味になって上手くいきません。更にどうでもいいおさらいをすると、僕ことSakuは都内でアクティングトレーナーを務めております。大体年間400~500現場を演技技師として携わり、年単位で約10000症例を扱う、簡単に言えば、『演技のお医者さん』です。えっ、もう知ってる?スゴイ!有名人になった気分!)




今回は、この“ノルアドレナリン”というモノをちょっとだけ詳しく説明するところからお話を始めます。

上記でも説明したのですが、このノルアドレナリンは一概に人間が脳内でモノを考えている最中に脳内で生み出されている物質だと言われているのですが、実はいくつか種類があります。


ノルアドレナリンは意識的にもそうですし、無意識(思い込み)や個人の行動パターンのクセによっても発生します。
度合いは人によって変わりますが、ほとんどの場合、品行方正な俳優諸氏の皆さんは知らず知らずのうちに、ノルアドレナリンの呪縛に囚われがちなんですね。


そのオッソろしい❝呪縛❞が巻き起こす悲劇についてお話をさせて頂きます。



まず「感情が出ない」「感情が出なくなった」と嘆く俳優さんの多くは、無意識のうちにお芝居を『特殊なもの』だと誤認しています。

全ての悲劇の発端は、その誤認から始まります。

まずはそこからざっくりと説明します。

つまるところ俳優さんは「お芝居はこうやらなきゃ!」とか「お芝居だからセリフや動きはこうあるべきだ!」と考えがち & スルーしがちだという事です。

真面目かつ品行方正な俳優諸氏の皆さんは、お芝居を【特別】【特殊】なものだとカテゴライズしてしまいがちです。

更に、ご自身が頑張って身につけた感覚だし、周囲の方々もほとんどが演技を特別・特殊扱いするものですから、悲劇が起こっていることにすら気付けていない状況なのです。


この悲劇を解明するために、どうしてそうなったか?の話をします。


まず大前提をお伝えしておきます。その内容はこちらです。

『全ての俳優さんは、どんなに不真面目に見えても本当は非常に真面目』

この点を念頭に置いてください。

そして、次に進みましょう。

何故これを念頭においたかというと、俳優さんはどんなに疲れていても苦しくても、現場に行ったときには「へへ、やるんや……ワイはやってやるんや……」と昔の少年漫画の主人公の如く絶対に前のめりで芝居をしようとします。(稽古段階ではこの気持ちは発生しない事もままありますのでご注意を。今回は現場に行った際の俳優さんの性質にフォーカスを置いております。)



《ギャランティが発生する (∩´∀`)∩ 》
《スタッフさんに見られている (; ・`д・´) 》
《お客さんが待っている (/・ω・)/ 》


要素は様々にありますが、これらが揃うと、ほとんどの俳優さんは「疲れた~!休みてぇ~~!」と思いつつも、根本的には全力を尽くして演技をしようとします。


バイトや仕事ではこうはいかない場合が多いですね。
特に現場の中にいればほとんどの場合、俳優さんは「必ず芝居を遂行」しようとします。
なんとジュニア(子役)からシニアの方まで共通した概念です。


凄いですね!僕は、こういう、業態が持つ強制労働力こそ人知を超えた魔法に感じる時があります。

働き方改革が入る前は、映像案件で数か月拘束される事もありました。

相当の重労働かつ長時間拘束でしたが、皆、基本的には疲れすら見せずに撮影現場に臨んでましたし。


労働基準法?
知ったこっちゃありませんwww


どんなに法律が厳しくなろうとも、この見えない魔法=常識があるが故に、全員がどうあれ頑張ってしまう訳です。


この点を俳優諸氏の皆さんは、品行方正が故に無自覚です。

無意識での【特殊化】がプラスに働いていればよいのですが、こと演技で感情が出る/出ないにおいては、マイナスに働くことが多いです。





さて、上記の大前提をベースに話をします。

ここから、皆さんが品行方正かつ真面目なため、『感情が出ない』『感情が生まれない』という悲劇に繋がっていきます。


その状態は、いくつかの【呪い】から生成されています。


以下にその【呪い】を記載していきます。



・呪い その①

 自分に『セリフ』がある


・呪い その②

 『次の展開』を知っている


・呪い その③

 『セリフを覚えなくては』と思い込んでいる


・呪い その④

『ワンチャン活躍したい/爪痕を残したるぞ!』と思っている


・呪い その⑤

『脚本に設定された役割や状況』を頑張ってしまう


・呪い その⑥

学校生活や現場、社会生活で『頭を過度に使う事が美徳とされるような風潮』を信じてオートマティックに実践してしまう。


・呪い ex

これらの呪い全般を無自覚に受け入れ、科学的に分析せず、気合いだけでスピリチュアルにこなす風潮が当たり前になっていること。

及び、環境や業態そのものが、解消方法をスピリチュアル寄りに構成してしまっていてもおかしいと思われないこと(そりゃハラスメントだらけになりますよ)。


※他にも細かな【呪い】と呼ぶべき足かせは数十種類存在しますが、ここでは主に上位のトップランカー――――つまりは、イカれた主要メンバーを紹介したというわけです。更に詳しくはWSで取り扱います。



いかがですか?

真面目が故に上記の呪い群を遵守しようとしてしまう。         
         ↓
そして『そうせねば』と思い込み、段取り重視になる。
         ↓
加えて学校生活や社会生活全般で浸透した「頭脳使用至上主義(覚えた内容を筆記や発言、文章でアウトプット)」風潮に触れてしまっている
         ↓
ノルアドレナリン過多で行動する
         ↓
ディレクションで「感情が出てない」「会話になっていない」+現場での時間を削減するために「こういう風に段取りして動いて」「こう反応して話して」と言われエラーを起こす。
         ↓

真面目が故にこれを遵守しようとしてしまう。以下ほぼループ。


私心で申し訳ないのですが、さすがの私も「一体、これは何の地獄ですか?」と思う時があります。科学がないので具体的に説明、実装が出来ずこの繰り返し。

この構造こそが僕は『隠れたハラスメント』だと思うのですが、残念ながらこの点に着目されている方とあまり出会えず苦しい限りです。


故にこのループに呑み込まれると、『感情が出ない』→『苦しい。つらい。しんどい。』というイカれた状態になりがちです。笑





さあ、品行方正な俳優諸氏の皆さん。素数でも数えて落ち着いてください。


口調はマイルドに書いたつもりでしたが、内容は割と壮絶でしたね。
僕の仕事はこれを秒で何とかすることです。


ですが、事例を追っていけば簡単だったでしょう?

これが『感情が出ない』という状態の簡単なメカニズムです。

言うなれば”無意識のノルアドレナリン”です。

『芝居を特殊だと思い込む』現象は、上記の【呪い】によって形成されていきます。


ではこれを解消する方法はありますか?

ええ、ありますよ。

そう。科学ならね。


次回はこれらを簡単に説明しています。

もう少しお付き合いくださいね。



~続~




TAS studio

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