宣伝材料資料 ~ボイスサンプル・デモリール・宣材写真について~ 基礎編
皆さんこんにちは。
アクティングトレーナーのSakuです!
今回は、声優と映像のクライアントさまからいただいた多数のリクエストにお応えして、『キャスティング率が大幅に上がる、宣伝材料資料について』お話ししていきます!
さてさて、これまでブログで “演技のお医者さん” とお伝えしてきた僕についてですが、この機会にざっくりと経歴を説明しますね。
学生劇団 → 大道具(映像・舞台) → 俳優 → アクティングトレーナー → アニメ会社 → 独立 → 芸能事務所役員 → キャスティング → 一般企業OJT(2020年) → 芸能復帰(2021年)という流れで現在に至ります。
簡単にまとめると映像・舞台・アニメ・企業案件・一般企業教育案件を体験してきたわけですね。
現在は昔からの馴染みの方からの企業案件キャスティングや海外からのボイスオーバー、アクティングトレーニングで生計を立てております。
なので、今回はこの立場からしか見えなかったキャスティングの裏側等々をこっそりお話しします。
(基本的に演技指導 + 企業案件メインに人財仲介を行いつつ、オーディション代行や制作業務、アクティングコーディネイトを行っているということです)。
まずはキャスティングの際に目を向けるのは、SNSのフォロワー数や実績等も勿論なのですが、そっちは品行方正かつ真面目な俳優諸氏の皆さんなら『今の時代、SNSは大事!』『実績?もちろん大事でしょう!』とこれらの大前提で理解していると思います。
『ラーメン二郎に入ったらコールはニンニクアブラカラメ』
『相当の自信が無ければ初心者は野猿〇道店に行くな』
みたいなものですね。
なので、その点については僕より詳しい方がいると思うので、今回はお話しする対象から外します!あくまで、僕の持っているニッチな観点にフォーカスを絞ります。
そして、不肖僕なんぞのブログを読んでくださっている品行方正な俳優諸氏の皆さまはきっと、「真面目に演技を突き詰めようとし、現場に出たい方」が多いような気がしています。(もちろんそうじゃなくても全然大歓迎!バッチ来いオーライです。)
ってことで、SNSの『先の話』をします。
意外とこの辺を知らない方も多いです。きっとこのブログを読んでいる方のニーズとしては「腕を高めたい」人が多いでしょうから、腕を効果的に高めるために何かしらの情報収集を行おうとしていると予想します。そして、品行方正かつ真面目が故に、何らかのコミットを行っているでしょう。
今回は、その腕を「認知させる方法」について、マニアックな観点からお伝えします。
(実戦的な考えですが、今回はかなり限定的な範囲について言及しています。SNSや実績面での評定基準をクリアして書類審査へと進み、更にそこから演技面を重視して審査が行われる区間で“役に立つお話”をしようと思います!)
知らないと、腕を高めたことが裏目に……なんてことになりかねませんよ。
割と盲点のオンパレードです。
そして、ご安心くださいね。
皆さんが、これから起こしかねない失敗。歩むべき地雷原。
先んじて僕が全力で通ってます!!
地雷も踏みまくりました!!平成のリアルボン〇ーマンとは僕のこと。
アレは痛かった!痛かったぞ!!
はい。
なので、今回も若かりし頃の僕(20代後半時)の失敗談をベースに話をしていきます!
では時を戻します。
今回は、僕が下手くそ脳筋キャスティングを始めた頃、アクティングトレーニングを行いだして7年くらいが経った頃ですかね(まだ20代後半でした。その頃には、僕も品行方正気味になってましたよ。少なくとも辛いことがあってもメンチは切らなくなってました。本当ですよ。疑わないでくださいね(´;ω;`))
……随分、昔の話です。まだまだ駆け出しでクライアントさまが少なく、にっちもさっちもいかなかった記憶があります。
ですが、撮影で繋がった方々から「いい役者さんとか、人財いません?」と声をかけて頂くことが多々ありました。
恥ずかしい話ですが、『ワイは俳優を上手くするんや!そしてこの能力で皆でのし上がるんや!』と本気で思ってたんですね。
「プロゴ〇ファー猿」+「異世界転生勘違いチート主人公」的な思考から抜け出せなかった僕は、トレーナーとして関わった方々にお願いがてら声をかけました(中間手数料も頂いておらず、しかも良い演技でなければギャラも受け取らないという、今考えると恐ろしいほど素人丸出しの仕事の仕方でした)。
笑い話なのですが、当時は見た目がまだ微妙に尖っていたらしく、ド〇ールで熱心に詳細を説明する僕の姿はかなり“スゴ味”があったそうです。
商業映画のちょい役やエキストラの出演をお願いしたのですが、見た目が完全にアレだったので説明後に『てっきり“仁義な〇戦い”とか“ミナミ〇帝王”的なVシネマ作品のお誘いかと思った(笑)』と言われることもありました(笑)
やはり真剣になりすぎてメンチを切ってしまっていたのでしょうか。そんなつもりは毛頭なかったのですが。人とは変われるようで変わらないものですね。(遠い目)
ただ僕は、あまりにも業界の事を知らなかったため、
「腕さえあれば通る!イケる!のし上がれる!」と思っていました。
脳細胞ストライキ中かこのバカ野郎ですね~!
そして、紹介してくれた方がディレクターさんとかプロデューサーさんとか、ADチーフさんだったので、割と実技オーディション(最終審査付近)まですいすいとイケたのですが、そこからがにっちもさっちもいきませんでした。
付きっきりで腕をあげてもちょい役どまり。もしくはエキストラ。選考漏れ。
正直、「ええっ⁉」と思うことばかりでした。
10年前は今ほどSNSの数字も気にしていない時代なので、腕さえあればイケる!と思っていた僕は、
「ギギギ……悔しいのう……悔しいのう……!」とはだしで地団駄を踏むゲンの気持ちに陥りました。
それでも諦めずにトレーニングを続け、案件を取り、腕を上げ—————
また落ちる落ちる。当時のアキュラシー(案件取得率)は12パーセント程度。今の僕からしたらありえないカタストロフな状態でした。
そして、しばらく“ナイアガラフォール”な状況が続き、はだしで地団駄を踏めないほど打ちのめされました。
当時の僕のノートには、こんな文章が残されていました。
「僕のアクティングコンテンツより、畳の目を数えている方がよっぽど有益じゃん?
今だったら、コンビニの自動ドアに有益さで負けるんじゃない?いや、絶対に負けてる。なにせ人が近づいたら絶対に開くんだよ?」
ハイ。キてます。キちゃってます。そんなネガティブになるなよ。と心から言ってやりたい。
もしこの時シスの暗〇卿が優しく声をかけていたら、僕は喜んでダークサイドにダイブしていたでしょう。
腕を徹底的に上げたのにも関わらず、なぜ落ちる————————⁉
トレーナーとして駄目なのではないか?やっぱり独りよがりだったのか——————⁉
なんて考えが頭を支配します。
僕は自分の腕の不振を疑い、これまでの自分とコンテンツを見直そうと思い、演技武者修行の旅に出ることにしました。
(私の古くからの友人は、この頃の僕を「デスナイアガラ滝行時代」とか「地獄ドサ廻り編」とか「道場破り時代」とか「暗黒転生期~悪魔はなぜ生まれたか~」とか「ネテロ会長の若い頃 Saku版」等々と勝手にカテゴライズしてます。人の人生をオモチャにしやがって。これもまたいつか機会があったら話しましょう。)
まあ、紆余曲折を経て、旅に出て、半年が経過しました。
そして、とある企業案件の現場に、制作スタッフ兼トレーナーとして裏方に入った時の話です。
僕の抱えていた悩みが解ける瞬間が訪れます。
それは、クライアントさまたちと、キャスティング審査を行うはずだった代理会社の方が風邪でお休みになり、僕が議事録をまとめるために代打で同席した際のことでした。(ちょっと特殊な案件だったんですよ。知ってる人はこれがどういう案件状態かわかるはずです。)
キャスティング最終選抜に進む直前だったのですが、クライアントさまたちはオーディションに同席してない方が大半だったため、どういう状況だったかを把握しきれていませんでした。
「〇〇さん、雰囲気あるね~。」
「〇〇さん、あの事務所の人か~。」
「〇〇さん、目を引くね~。」
そんな言葉が飛び交います。
僕は内心、強く葛藤しました。
『このままでは演技を見ないまま、印象だけで決まってしまうかもしれない……。それは悪いことじゃない。でもクライアントさまたちは知らないんだ。オーディションを受けた人がどんな人かを……。』
先ほど記載したように、僕が担当していたのは制作スタッフ 兼 アクティングトレーナーというポジションでした。
当時は、別ポジションの仕事については言及してはいけない風潮がありました。
僕は、一生懸命頑張って選考に残った俳優さんが、正当に評価されてほしい気持ちでいっぱいだったのです。ただ、垣根を越えて、口を出してはいけない。
ましてや当時の僕は会社も持たない野良のアクティングトレーナー。
思考がコーヒーに垂らしたミルクの如くぐるぐると回転し、葛藤はピークを迎えつつありました。
その間にも会議は進んでいきます。まさに言うべきか言わざるべきか。
僕のポリシーと現場の正義がぶつかってしまい、葛藤していると、僕の所持していた当時のガラケーに1件の連絡が入りました。
それは、“欠席した代理会社の方”からでした。
その方は、意外と俳優さんの印象や芝居について詳しく説明する方で、僕と仲が良かったこともあり、メールで「Saku君、よろしくアテンドをお願いします。」と応援の連絡をくれたのです。
僕は、その方の権限や看板を汚さない範囲で、オーディション参加者たちの演技がどうだったかを話すことに決めました。
意を決し、参加者の方々の渾身の演技について、ご本人たちが意図したことと、実際に行ってクライアントさんが印象を受けた部分について公平にジャッジが出来るよう演技を分析、解析しつつ、補填をいれて説明を始めます。
「キャラ芝居のように見えても、この人は企業案件の性質上、こういう意図をもって芝居をしている。本来のスタイルはナチュラルな芝居の方向だと思うので、そちらのオーダーも可能でしょう。」
「オーディション時に、自分が上手くやろう、成果を残そうと頑張りすぎて自分に籠った演技になってしまった。ただし、現場の指揮は〇〇さんですし、現状出ているコンテ的に、このお芝居の仕方であればきっとフィットするだろう。」
「クライアントさまの〇〇さんは、このオーディション参加者の方は、演技が上手くいっていないと仰ってましたよね。しかし、このVTRの後半部分をご覧ください。緊張状態が緩和されたらこういう特性のお芝居をします。メイクにつくスタッフさんは〇〇さんで緊張を解きほぐすプロでもあるので、大丈夫です。」
そのようなことを、話したと思います。決して、どちらの肩も持たず、適正な条件で審査が出来るよう、配慮しつつ言葉を選びました。
光栄なことに、色々演技のことについて聞かれ、可能な限り誠心誠意お答えしたところ、クライアントさまも満足されました。
そして、「燃え尽きたぜ……。真っ白にな……。」状態の僕に、まさかの衝撃の展開が訪れます。
打ち合わせも無事終わりお見送りをしていた僕に、クライアントさまが帰り際、さわやかな笑顔で僕にこう伝えました。
「いやあ、君の言う通りだったよ!多分採用するとしたら、演技の上手かったあの子を採用するよ!いや~、僕たち会社員なんで正直、演技はどっちかっていうとわからないから、上手さで判断することを “諦めて” たんだよ~♪ぶっちゃけ今まで写真でフィットするかどうかを見てたんだよね!」
……おへ?
と、僕はその場で、生まれてこの方、出したことも無いような阿呆丸出しの声を出しました。
更に続けてその方は実に爽やかに僕を “オーバーキル” します。
「まあ、僕、他の会社からヘッドハンティングでこの会社に来たんだけど、どこいっても皆、わかってないからね~!っていうか、君みたいに真面目に演技のことプレゼンされたこともないし、本当は僕も演技なんて皆、見てないもんだと思ってたから! とっても楽しかったよ!」
えっ、えっ、演技を見て……いない…だと…?ほな、何を見とるんや……?
僕のクライアントさまが落ち続けていたのは……ン⁉そういう……こと⁉
いつから錯覚していたんや……僕が信じた腕って……。
そうです。
僕は『選ぶ側の心理と、実際に選ばれる際の真理』を知らなかったのです。
当時の僕にとってもそうでしたが……もしかしたら今の皆さんにとっても、絶望的なことを今回のブログのまとめに記します。
演技を見るのは、必ずしも演技を見て『分かる人』ではありませんでした。
そして、これから様々な経験を経て、僕はこう考えるようになります。
『監督やスタッフは演技がわかるプロではない。現場や様々な目的を遂行するプロフェッショナルである―――――――』と。
~続~
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